胆石症(胆のう結石症)

肝臓で作られた胆汁が流れるルートに出来る結石を総称して胆石と呼びます。日本では、最も多いのが胆のう結石で78%、次いで総胆管結石が21%、肝内結石は1.3%とされています。一般的に胆石症というと、最も多い胆のう結石症を指します。

症状

胆石の自覚症状として最も多いのは、右季肋部痛(右のわき腹の痛み)で、右の肋骨の下あたりに差し込むような痛みを感じ、背中に抜けるような痛みを伴うこともあります。色々な場所に痛みの症状が現れ、一様ではありません。痛みとともに胆のう内の胆汁に感染をきたすと、胆のう炎を併発し、腹痛とともに発熱を生じることがあります。

当院で可能な治療法

胆のう炎と診断されれば、早期に胆のう摘出術を行うことが推奨されています。その方法として現在最も多く行われているのが、腹腔鏡下胆のう摘出術です。

総胆管結石症

総胆管に胆汁成分から生成された結石が存在する病態です。生活様式の欧米化に伴い、コレステロール結石が増加傾向にあります。

食事の欧米化

主な症状

無症状のものから、上腹部痛・黄疸・発熱・吐き気・嘔吐などがみられることもあります。

当院で可能な治療法

胆管炎などを起こしている場合は、入院・絶食腸管安静・抗生剤投与などの内科的治療を行います。しかし多くの総胆管結石は、胆管炎を再発させてしまうため内視鏡的膵管胆管造影検査(ERCP)を行い、内視鏡的乳頭切開術(EST)などの処置とともに総胆管結石を除去します。また、黄疸を来している場合も速やかに内視鏡的処置を行います。

また無症状の場合でも、無症状の胆石と違い総胆管結石症の胆管炎発症率が高いため、内視鏡的に結石除去を行います。

総胆管充満結石や肝内胆管結石など内視鏡的な採石が困難な場合は、経皮経肝的胆道鏡下治療や、外科的総胆管切開切石術や肝切除術などを行うこともあります。

総胆管結石症の原因の多くは胆のう内の胆石の落石によるものが多く、超音波検査などで、胆石の併存を認めた場合は、再発予防に後日、腹腔鏡下胆のう摘出術を行います。

ESTの様子
ERCPによる採石治療
腹腔鏡下胆のう摘出術の様子

膵炎

様々な原因により膵臓の中で活性化してしまった膵酵素が、膵臓を自己消化してしまう病態です。膵炎には、アルコールによる膵炎の他に、膵炎の出口に胆石が詰まってしまうことで起きる膵炎などがあります。「胆管膵管合流異常症」や、「高脂血症」などでも発症します。

主な症状

上腹部痛で発症し、上腹部を押すと強い痛みを感じ、背中側に痛みが広がってくる症状が一般的です。吐き気や嘔吐などがみられることもあります。

当院で可能な治療法

入院の上で、絶食腸管安静・十分な輸液・膵酵素阻害薬の投与・抗生剤や鎮痛剤の投与を行います。
原因がアルコールの場合は禁酒の継続で良いですが、総胆管結石症などの結石が原因の場合は、結石を内視鏡的(ERCP:内視鏡的逆行性胆管膵管造影)に除去します。
多くの膵炎は内科的保存治療で治癒しますが、膵炎の進行がひどく、膵臓や腹腔内に膿が溜まったり、膵臓が壊死してしまったときは、外科的にドレナージを行い、壊死した部分の切除が必要になります。
※再発予防: 飲酒や高脂肪食を控え、規則正しい食生活が再発予防に大切です。

ERCPで利用する側視鏡