診療科・部署

腹腔鏡下手術

日本では1990年に胆のう摘出術に初めて導入され、その低侵襲性をはじめとした利点から、この20年の間にあらゆる臓器に対して行われるようになり、消化器悪性腫瘍の中でも、早期胃がんや大腸がんに関しては従来の開腹手術と同等以上の成績が証明され、標準手術といって良い術式となっています。

胃がんにおける腹腔鏡下手術

過去には著名なプロ野球選手、最近ではお笑いタレントの方に行われた術式で、お腹を大きく開腹することなく、4カ所に10mmほどの創を入れ、二酸化炭素でお腹を膨らませた上で、腹腔鏡と呼ばれるカメラを挿入し、これより映し出される画像をモニターで見ながら行う手術です。各種機器の進歩と手技の向上に伴い、従来の開腹手術では得られなかったような繊細な手術が可能となっています。切除した胃の取り出しと、残った胃と十二指腸をつなぐ再建目的にみぞおちに約5cmの小さな開腹創をおく手技を基本的に行っています。臓器の取り出しに必要な最低限の創(臍部約3cm)で行うことにより、術後の痛みがさらに軽減した手技が可能となっています。

診断から治療までの流れ
術前

術前診断を正確に行い、進行度に応じた治療を計画することが重要で、胃カメラ、CT、バリウム造影を行わせていただきます。根治手術が可能で、腹腔鏡下手術の適応があると判断されれば、心電図や肺機能など全身精査を行ったのちに手術日を決定することになります。診断が付けば、患者さま自身は大きな不安を抱えることとなります。速やかな術前検査と手術計画を行うようにスタッフ一同、心がけております。

入院

基本的には手術の前日にご入院いただきます。病室にも慣れていただき、治療計画の再確認をスタッフと行います。前処置として下剤の内服をお願いしています。

手術

手術は全身麻酔で行います。手術時間は平均5時間ほどですが、患者さまの体型やおなかの中の状態によって前後します。移動時間や麻酔をかける時間・麻酔から覚める時間を合わせて、6時間ほど手術室に入ることになります。

術後

手術後は全身麻酔から十分覚めるまで、血圧計や心電図モニターを付けさせていただきます。手術の翌日の午前中には、ご本人と相談の上で歩行練習を行い、可能であればトイレ歩行などは積極的に行っていただきます。痛みがない手術ではありませんので、自信がなければ術後2日目に歩行開始していただきます。また、術後3日目には少量の水を飲んでいただき、問題無ければ術後4日目以降で状態を見て食事を開始することになります。胃の術後では食事管理が重要であり、食事管理を在宅で行うことが可能であれば、術後1週間以降で退院が可能です。
術後3週間ほどは、噛んでも小さくなりにくいような食事は避けていただく必要があります。つないだ部分が狭くなったために、一時的に食べ物が食べられなかったり、嘔吐したりする時期が生じることがあり、程度によってスープのような食事にしていただいたり、点滴を必要とすることがありますが、一ヶ月ほどでほぼ改善してきます。
胃の大きな機能である、「ためる」・「砕く」といった働きが低下するため、一回の食事量を抑えて、食事回数を増やし、柔らかいものでも良く噛んで飲み込むことが大切です。

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大腸がんにおける腹腔鏡下手術

お腹を大きく開腹することなく、4カ所に10mmほどの創を入れ、二酸化炭素でお腹を膨らませた上で、腹腔鏡と呼ばれるカメラを挿入し、これより映し出される画像をモニターで見ながら行う手術です。各種機器の進歩と手技の向上に伴い、従来の開腹手術では得られなかったような繊細な手術が可能となっています。切除した大腸の取り出しと吻合を目的に、臍の上下に約5cmの小さな開腹創をおく手技を行っています。肛門温存がかなわない下部直腸進行がんなどでは、会陰部の創から臓器を摘出するため、人工肛門に要する創以外に小開腹創は必要とはなりません。
創が小さいため、術後の回復も従来の開腹術と比較して早く、経過に問題なければ、ご高齢の方でも術後10日ほどで退院は可能な状態になります。

大腸がんにおける手術の傷あと大腸がんにおける手術の傷あと
腹腔鏡下手術後(左)と開腹手術後(右)
診断から治療までの流れ
術前

術前診断を正確に行い、進行度に応じた治療を計画することが重要で、大腸カメラ、CT、バリウム造影を行わせていただきます。大腸がんはほとんどの場合、腹腔鏡下手術の適応となります。心電図や肺機能など全身精査を行ったのちに手術日を決定することになります。診断が付けば、患者さま自身は大きな不安を抱えることとなります。速やかな術前検査と手術計画を行うようにスタッフ一同、心がけております。

入院

基本的には手術の前日にご入院いただきます。病室にも慣れていただき、治療計画の再確認をスタッフと行います。前処置として下剤の内服をお願いしています。

手術

手術は全身麻酔で行います。手術時間は平均3~5時間ほどですが、患者さまの体型やおなかの中の状態によって前後します。移動時間や麻酔をかける時間・麻酔から覚める時間を合わせて、4~6時間ほど手術室に入ることになります。

術後

手術後は全身麻酔から十分覚めるまで、血圧計や心電図モニターを付けさせていただきます。手術の翌日の午前中には、ご本人と相談の上で歩行練習を行い、可能であればトイレ歩行などは積極的に行っていただきます。痛みがない手術ではありませんので、自信がなければ術後2日目に歩行開始していただきます。また、術後2日目には少量の水を飲んでいただき、問題無ければ術後3日目以降で状態を見て食事を開始することになります。
胃の手術ほど食事管理に神経質になる必要はありませんが、切除する腸管が肛門に近くなればなるほど、術後の排便状況は不安定になります。頻便や残便感などはある程度投薬でコントロール可能ですが、術前に説明を受けていてもストレスになることがあり、ゆったりと構えて新たな排便状況に対応することをおすすめしています。
創が小さいため、術後の回復も従来の開腹術と比較して早く、経過に問題なければ、ご高齢の方でも術後10日ほどで退院可能な状態になります。

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腹腔鏡下胆のう摘出術

以前、急性胆のう炎は適応外とされていましたが、現在では保険適応となっております。発症後早期に行うことにより、合併症の減少や在院日数の短縮が可能となっています。一般的には4カ所に5~10mmほどの創を入れて行う手術が主流です。何よりも時間が経てば、おなかの創はほとんど分からない状態となるため、美容上もとても優れた手術です。

診断から治療までの流れ
術前

胆道系の精査として、CT、超音波、必要であればMRIを行わせていただきます。心電図や肺機能など全身精査を行ったのちに手術日を決定することになります。緊急手術は患者さま自身、大きな不安を抱えることとなります。速やかな術前検査と手術計画を行うように、スタッフ一同心がけております。

入院

待機手術の場合には、手術の前日にご入院いただきます。病室にも慣れていただき、治療計画の再確認をスタッフと行います。前処置として、下剤の内服をお願いしています。

手術

手術は全身麻酔で行います。手術時間は1時間半ほどですが、病変の炎症の程度や患者さまの体型によって前後します。移動時間や麻酔をかける時間・麻酔から覚める時間を合わせて、2~3時間ほど手術室に入ることになります。

術後

手術後は全身麻酔から十分覚めるまで、血圧計や心電図モニターを付けさせていただきます。手術の翌日の午前中には、ご本人と相談の上で歩行練習を行い、可能であればトイレ歩行などは積極的に行っていただきます。水分摂取もしていただき、問題なければ手術翌日の昼食より食事を開始することになります。
創が小さいため、術後の回復も従来の開腹術と比較して早く、経過に問題なければ、ご高齢の方でも術後4日ほどで退院は可能な状態になります。

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腹腔鏡下虫垂切除術

臍部を含め3カ所の小さな創から、腹腔鏡と呼ばれるカメラと長い鉗子を使って行う手術です。腹腔鏡ではおなかの中の全体が見渡せるため、従来の小開腹手術よりも広い視野で手術を行うことが可能です。術前の画像診断の精度があがり、確定診断はほとんどの症例で可能ですが、虫垂炎と似た症状をきたす卵巣病変のチェックも容易です。「超音波凝固切開装置」という止血と切開が同時に行える器械を用いて虫垂に入っていく血管を処理したのちに虫垂を切除し、臍のキズから摘出します。穿孔をきたして腹膜炎を起こしている虫垂炎でも、従来の方法では不可能であった、おなかの中全体の洗浄が可能です。腹膜炎の程度が高度な場合はドレーンといわれるチューブを下腹部に置いて手術を終了します。キズが小さいため、術後長期に処置が必要なキズの感染は少なく、在院日数も短くなります。

腹腔鏡下虫垂切除術の傷あと(例)

腹腔鏡下虫垂切除術の傷あと(例)

診断から治療までの流れ
術前

虫垂炎手術はほぼ全例において緊急・もしくは準緊急手術となります。診断確定を確実に行うため、CT、超音波を行い、心電図など全身精査を行ったのちに手術を行います。診断がつけば速やかに手術を行います。緊急手術は患者さま自身、大きな不安を抱えることとなります。速やかな術前検査と手術計画を行うように、スタッフ一同心がけております。

入院

緊急手術の場合には、外来より直接手術室に向かうこともあります。準緊急手術となる場合はいったん病室に入っていただき、着替えなどした上で手術室に向かいます。

手術

手術は全身麻酔で行います。手術時間は1時間半ほどですが、病変の炎症の程度や穿孔の有無、麻痺性腸閉塞の有無、患者さまの体型によって前後します。移動時間や麻酔をかける時間・麻酔から覚める時間を合わせて、2~3時間ほど手術室に入ることになります。

術後

手術後は全身麻酔から十分覚めるまで、血圧計や心電図モニターを付けさせていただきます。手術の翌日の午前中には、ご本人と相談の上で歩行練習を行い、可能であればトイレ歩行などは積極的に行っていただきます。水分摂取もしていただき、問題なければ手術翌日の昼食より食事を開始することになります。
創が小さいため、術後の回復も従来の開腹術と比較して早く、経過に問題なければ、ご高齢の方でも術後4日ほどで退院は可能な状態になります。

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腹腔鏡下ヘルニア根治術

ソケイ部より離れた臍部を含め3カ所の小さな創から、腹腔鏡と呼ばれるカメラと長い鉗子を使って行う手術です。直接お腹の中からヘルニア門(内臓が飛び出していた穴)を確認できるため診断が容易です。また、成人のソケイヘルニアの患者さまには、ヘルニアが発生しやすいおなかの壁の弱さや、高い腹圧などが背景にあるため、反対側のヘルニアも出来やすいと言えます。腹腔鏡でおなかの中から観察すると、新たな創を追加することなく、反対部のソケイ部を見ることができ、体表からは確認することのできないような小さなヘルニアの有無が見つかることがあります。こういった場合でも、同じ創のまま両側のヘルニア修復が可能です。腹膜に切開を入れ、ヘルニアの袋をおなかの中に引き戻して、十分なスペースを確保した状態で、メッシュを当てて腹膜を閉じて手術終了となります。
利点としては、

  1. 創が小さく痛みが小さい
  2. 反対側の観察が可能である
  3. 大腿ヘルニアを含めたソケイ部すべての補強ができる
  4. ソケイ部を触ることがないため、陰毛を剃る必要がない

などが挙げられますが、全身麻酔が必要で、下腹部の癒着が予想されるような手術を受けたことがある方には困難なこともあります。

腹腔鏡下ヘルニア根治術の様子腹腔鏡下ヘルニア根治術の様子
腹腔鏡下ヘルニア根治術の様子 腹腔鏡下ヘルニア根治術の様子
腹腔鏡下ヘルニア根治術の様子
診断から治療までの流れ
術前

全身麻酔の術前検査として、採血のほか心電図や肺機能など全身精査を行ったのちに手術日を決定することとなります。嵌頓(出っぱなしになって戻らない状態)例以外では、計画的な予定手術となりますので、ご本人のご都合を十分調整できる日程でご予約いただけます。

入院

基本的には手術の前日にご入院いただきます。病室にも慣れていただき、治療計画の再確認をスタッフと行います。

手術

手術は全身麻酔で行います。手術時間は1時間ほどですが、患者さまの体型やおなかの中の状態によって前後します。反対側にもヘルニアが認められた場合、術前に同意をいただいていれば、両側の根治術を同時に行うため、手術時間は延長します。移動時間や麻酔をかける時間・麻酔から覚める時間を合わせて、プラス1時間ほど手術室に入ることになります。

術後

手術後は全身麻酔から十分覚めるまで、血圧計や心電図モニターを付けさせていただきます。手術の翌朝には、水を飲んでいただき、自力でのトイレ歩行も行っていただきます。問題無ければ食事を開始し、希望されれば午後には退院可能です。痛みのない手術ではありませんが、創が小さいため、術後の回復も早く、経過に問題無ければ、ご高齢の方でも術後4日ほどで退院は可能な状態になります。

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